鎌倉Style

machijikan | vol.03

街時間 最中
この街にはこころ舞う時間が流れている
[ vol.03 ]
鎌倉Style 鎌倉を歩く Vol.3
魅惑の西鎌倉へ 緑陰と風のふわり遊散歩

江の島や富士山を一望できる鎌倉山周辺は、古くからの住宅街が連なる閑静なエリアです。湘南モノレールの沿線を中心に、優雅に過ごせるハイセンスなお店や散策路を訪ねます。

実は日本で2番目に開通
知られざる湘南モノレールの歴史

大船駅から出発し、西鎌倉の住宅街をぐるっと巡って、湘南江の島駅へ到着する湘南モノレール。今回は散策のスタートに、湘南モノレールの車両基地を訪ねてみました。

「東京モノレールに次いで日本で2番目に歴史がある、公共交通機関として走るモノレールなんです」と説明をしてくれたのは、湘南モノレール株式会社の広報課長、花香晋生(はなかくにお)さんです。
東京オリンピックに合わせて国内で初めて完成した東京モノレールは、レールの上を走る跨座式(こざしき)でした。それに対し、湘南モノレールはぶら下がるような形で運行する懸垂式(けんすいしき)であり、国内モノレールのパイオニア的な存在だったそうです。

懸垂式の特徴は、カーブでも速いスピードで走行できるところ。のんびりと空を行くイメージがある湘南モノレールですが、最高速度はなんと時速75キロにも達します。「アップダウンやカーブが多い鎌倉周辺の地形は、懸垂式のモデル走行としては最適なコースだったんです」と、花香さんが開通当時の背景を教えてくれました。
現在、国内の懸垂式モノレールは、湘南モノレールと千葉都市モノレールの2カ所のみ。空中を飛ぶようにグイーンと走る姿は、なかなか見られない風景なんですね。

秘密がいっぱいの車両基地

湘南モノレールの深沢車両基地は、湘南深沢駅から車庫線をたどった先にあります。ヘルメットをお借りして、いざ基地内へ案内していただきました。
一般公募の見学会は、いつも大盛況の同基地。車両の運転席に座ったり、車掌さんのようにドアを開閉するなど、普段はできない体験が人気となっています。

車両基地は、湘南モノレール本社の3~4階部分。モノレールの軌道に合わせた高さになっています。初めに車両を据え付けるときは、2台の大型クレーンで吊り上げるそうです。
階段を上がっていくと、モノレールを上から見学することができます。メタル製の軌道桁にぶら下がってゴムタイヤで走る、湘南モノレールならではの「懸垂式」の仕組みが分かります。通電中は強力な電気が流れるため、常に安全第一で点検や整備が行われています。

レールだけでなく、モノレールの車両の形にも、懸垂式ならではの特徴があります。停車している湘南モノレールの車両を正面から見ると、真四角ではなく、下がややすぼまった台形になっているのが分かります。これは、車体の重心位置を上にするためのデザイン。通常の乗り物は重心を下げることが多いのですが、モノレールは逆です。カーブを曲がるときに遠心力がかかっても、安定して走行できるように、重心を上にしているのだそうです。

車体や駅舎のカラーにも注目

赤い車両という印象がある湘南モノレールですが、「実は虹色カラーなんです」と花香さん。現在、赤、青、緑、黄、紫、黒、ピンクと7色の車両が運行しています。取材で伺った深沢車両基地には、乳がん撲滅のメッセージを伝える「ピンクリボン号」がありました。ヘッドマークのかわいいデザインは、横浜デジタルアーツ専門学校の学生さんが手掛けたのだそうです。地域と一体となって、企画を盛り上げています。

大船駅は緑、湘南江の島駅は青など、駅舎ごとにテーマカラーがあるそうです。さらに、駅構内にある案内看板のイラストは、駅ごとのオリジナルで全てデザインが違うことにも注目です。
沿線グルメをお得に楽しめるきっぷの発行や、沿線を舞台とした劇場アニメとのコラボなど、魅力的な企画もいっぱいあります。駅のポスターなどで情報をチェックしてみてくださいね。

湘南モノレール株式会社
◎住所/〒248-0022 鎌倉市常盤18
☎0467-45-3181

海の町、西鎌倉の気取らないお寿司屋さん

湘南モノレールの西鎌倉駅から歩いて数分の場所にある「栄寿し」。どこか懐かしい印象のお店の扉を開けると、「いらっしゃいませ」と店主の古屋栄志さんが柔らかな声で出迎えてくれました。
実はこのお店は、西鎌倉の地元の皆さんが足繫く通う名店。湘南の地魚を使ったおいしいお寿司が、リーズナブルなお値段で食べられるんです。

本物が味わえる、ランチに大満足

この日のランチのにぎりは、あなご、かつお、あじ、かんぱち、中トロ、そして玉子とかんぴょう巻き。美しく捌かれたお刺身とごはんのバランスが絶妙で、「やっぱり職人さんが握ってくれるお寿司は違う」と大満足。それなのに茶わん蒸しとおわんも付いて950円とお手頃なので、ご近所の皆さんが通い続ける理由も納得です。漁の具合によって、腰越で水揚された生の湘南しらすにも出会えます。

家族連れも、おひとり様もどうぞ。地域みんなのお店です

お父様の代から数えて47年、栄志さんが継いで25年、変わらない味とアットホームな雰囲気で親しまれている栄寿し。「小さい頃から見ていた子が、最近『二十歳になりました』と挨拶してくれて驚きました」という温かなエピソードも伺いました。
女性でも入りやすく、「おいしいお寿司が食べたい!」という願望を気軽にかなえられるお店です。

優しい笑顔が印象的な店主の古屋栄志さんと

海老や野菜をカラリと揚げた天ぷらも、実はファンが多い注目メニューです。季節によってランチメニューに天ぷら定食が登場するので、揚げたてを堪能してみてください。
そして、お寿司と天ぷらと言えば、鎌倉を訪れる外国人観光客の方々にも人気の日本食です。2021年に江の島がオリンピックのセーリング競技会場となった際には、各国の選手やスタッフが栄寿しに足を運んでいたそうです。

栄寿し
◎営業時間/ランチタイム11:30~14:00、ディナータイム17:00~20:30(ラストオーダー20:00)◎定休日/水曜日 ※水曜日が祝日の場合は営業
◎住所/〒248-0032 鎌倉市津686-1(西鎌倉駅から徒歩7分) ☎0467-31-4662

鎌倉に日本初のバレエ学校を作った
エリアナ・パブロバの顕彰碑

鎌倉の海辺には日本初のバレエ学校がありました。現在、バレエ学校の跡地には、創設者であるエリアナ・パブロバの功績を称える顕彰碑が建っています。場所は、江ノ島電鉄七里ヶ浜駅から国道134号に出て、少し江の島方向に歩いたところです。2023年3月末に修繕を終え、ステンレス製の優美なアーチが鎌倉の海を見守っています。

「日本バレエの母」と呼ばれたエリアナ・パブロバ

ロシアから亡命した名バレリーナ、エリアナ・パブロバ(1897~1941)が七里ガ浜にパブロバ・バレエスクールを創設したのは、1926年のこと。この教室から日本バレエ界を支える多くの舞踊家が巣立ったことから、エリアナ・パブロバは「日本バレエの母」と呼ばれています。晩年、鎌倉を愛したパブロバは日本の国籍を取得し、「霧島エリ子」となりました。

さわやかなのに、元気になる
藤沢産のフルーツで紅茶を

小田急線片瀬江ノ島から橋を渡ってすぐ。開放的なテラス席のお店が、紅茶専門店「ディンブラ」です。専門店だけあって、いろいろな味の紅茶が、気軽に楽しめます。

おススメは夏季限定、「藤稔アイスシェルパティー」です

シェルパティーは、ぶどうとワインを入れた紅茶です。ヒマラヤ登山の案内人が、疲れをいやすために飲んでいたから、名づけられたとか。それを、藤沢のブドウでアイスティーにしました。
一口いただくと、さっぱり感のなかにも、豊かなブドウの香りが広がります。「ブドウって、こんなに香りがするんだ!」と、再発見しました。街歩きで疲れた体に、やさしいテイストが染みわたります。

1杯につき藤稔を2粒使います。藤稔は「巨峰より大きく、ピンポン玉くらいになる」といわれる大粒品種です。写真中央のお花のような果実が、藤稔1粒。そして、輪切りにして浮かべて、さらに果汁を絞って混ぜます。
こんなにたっぷり使っているから、ブドウの香りを楽しめるんですね。
ちなみに、紅茶は渋みの少ない「キャンディ」を使っています。紅茶とブドウの味がお互いに支えあって、優しい味になっています。

初代店主からの味を。

店主の磯淵泰果さんは、2代目。初代店主は日本の紅茶の世界では第一人者ともいえる磯淵猛さんです。2019年の猛さんの急逝を受けて、泰果さんがお店を引き継ぎました。 2021年、片瀬海岸にお店を移し、「地元のブドウでシェルパティーを」と発案。いろいろ探して出会ったのが、湘南果樹園の藤稔です。

丘の上の果樹園から

藤稔を持ってきてくれるのは、湘南果樹園の宮崎隆宏さん(左)。湘南の丘の街・藤沢市遠藤で、いろいろな果樹を栽培しています。藤沢の丘の味を藤沢の海辺で味わえる、って、考えてみたら、ちょっとぜいたくな気分になれます。
もちろん、湘南果樹園でもフルーツを販売しています。ディンブラでフルーツの魅力に出会って、果樹園に来るお客さんも少なくないそうです。

湘南果樹園では、ブドウのほかにも、リンゴ、ナシ、カキ、イチジク、キウイフルーツ…と、さまざまなフルーツを栽培しています。これからも、厳選された紅茶と旬のフルーツのコラボレーションが、いろいろ楽しめそうです。

時間を緩める、不思議な旅を

お店の中には、おいしそうな紅茶がいっぱい。専門書も並んでいて、さすが紅茶の専門店です。といっても、マニアックな堅苦しさはなく、アットホームな設えが迎えてくれます。まるで、知り合いのお嬢さんのお家に招かれたみたい。ときにはテラスで、お客さんとペットがくつろいでいることもあります。
スポーティーな湘南海岸。人々の笑い声やスポーツカーのエンジン音が、いつもにぎやかに響きます。そんな街歩きのなか、ふと立ち寄って紅茶をいただくと、なんだか時間の流れが緩やかになったよう。心なしか、喧騒が消えて波の音が聞こえてきたみたいです。
藤沢産のフルーツを載せた優しい紅茶は、夏から秋への不思議なひと時を体験させてくれました。

紅茶専門店ディンブラ
◎営業時間/11:00~19:00 ◎定休日/火・水曜日 ◎住所/〒251-0035 藤沢市片瀬海岸1-13−25 ☎0466-2643-40 https://dimbula.net

街時間・読者プレゼント

今回ご紹介した湘南モノレール株式会社の知られざる歴史・魅力を知ることができる「湘南モノレール全線開通50周年誌」を、JAさがみ准組合員の皆さまの中から抽選で2名にプレゼントします。
応募の締め切りは2023年11月30日(木)。下部のリンクボタンから応募フォームへ遷移します。
記事の感想やご意見・ご希望もお寄せください。

※「湘南モノレール全線開通50周年誌」は、湘南モノレール大船駅(改札横の売店)にて購入することができます。

JAさがみの准組合員になって、
街時間をもっと楽しく

准組合員の皆さまは、活動への参加や事業利用を通じて
地域農業・生産者を応援する、わたしたちJAの大切な仲間です。

さあ、あなたもJAさがみと一緒に、
地域農業を応援して
暮らしを豊かにしましょう!