湘南のコラムニスト諸星千鶴さんが贈る、
地元の出来事やおいしいモノのお話。
毎日忙しいママたちも、クスッと笑えて
元気になれる共感度100点満点??のお話です。
毎朝、通勤電車に揺られて東京まで出勤している「藤沢都民」の私。江ノ電の藤沢駅からJRの改札に向かう2階のコンコースの古い窓から、一瞬見える富士山はいつも心を癒してくれる存在です。通勤ラッシュで、渦のような人の流れに押されるように、立ち止まることも許されず。首の体操のようにチラリと横を向くだけですが、街を飛び越し、はるか彼方に勇壮な富士山が見えると、何だか今日は良いことがありそうで、少しだけ心も軽くなる気がしてきます。
「死ぬまでに一度は、あの富士山に登ってみたい」と心に誓っておりました。7月のある日、思い切って山小屋に電話をしたところ、運良く予約が取れました。夢にまでみた富士登山です。万全の用意をし、いくつかある登山ルートで最も登りやすいという「吉田口」の五合目からスタート。七合目の山小屋までを2時間半くらいかけてゆっくり登り、小屋で仮眠をして、夜10時から再び山頂を目指し、真っ暗の中歩き続け、朝の5時のご来光を目指しました。
弾丸ツアーではありませんでしたが、慣れない夜の登り。酸素は薄いし、寒いし、岩場も多いし。「こんなはずではなかった」と半分泣きながら、わざわざ貴重な休みにキツイ思いをしている自分に後悔しながらも、必死で歩き続けました。
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- 夜景ではなく果てしなく続く登山者の列
それでもなんとか山頂に到達し、寒さに震えながら見たご来光はまさに神の世界。日本一高い山から見る黄金に輝く空と海に、世界中から集まった多くの人たちとともに歓喜の声を上げました。山登りは登り切った達成感や景色の美しさで今まで登ってきた苦労を忘れてしまうのが怖いところです。
一部ニュースなどでは、あまりよい報道もされていませんでしたが「ここはニューヨークですか」と思うほど、海外の方々であふれておりました。山小屋で働くアルバイトの方々も英語で会話。ヨーロッパ、アメリカ、東南アジア各国の皆さんは、ほとんどがきちんと準備をして登っており、山小屋ごとに杖に焼印をしてもらいながら、登山を楽しんでいました。「富士山に登ってみたいと思い日本に来た」と、共にご来光を見ながら涙した思い出ができました。
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- 酸素ボンベを当てながら見たご来光
そんな富士登山を終え、ふもとの温泉の露天風呂から私がつくづく思ったことは、やっぱり、富士山は眺めるのがいいなぁ・・・ということ(苦笑)。相模湾から眺める富士、住み慣れた街から望む富士、日の出に輝く姿や夕焼けと望む富士。やっぱり富士山は遠く憧れる心のよりどころだなぁと思った次第でした。きっと、明日の朝も、藤沢駅の古い窓からチラリと見えるだろう富士山に感動をすることでしょう。
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- 富士山の頂上は人人人
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- 一応、得意げな私
さあ、そんな疲れた身体にぴったりの一品をご紹介します。「台湾なの?日本なの?鹹豆漿(シェンドウジャン)」です。鹹豆漿は、台湾の朝ごはんとして人気の豆乳を使ったスープです。しっかりと台湾風にするのならば、具材に油條(ヨウティアオ・揚げパン)、菜脯(ツァイプー・たくあん)などを入れますと、一口でまるで台湾旅行に行った気分。また、ホロホロに固まった豆乳は、予想以上に和風の味付けもマッチするので、諸星家では小口ネギやしらすにしょうゆを垂らしてアレンジをし、冷蔵庫の身近な具で、さっぱりとした味にして楽しんでいます。では、超簡単な作り方の基本です。
まず、スーパーでも売っている無調整の豆乳(200mL)を小鍋で沸騰直前まで温めて火を止めます。それを、調味料が入っている器に注ぐだけ。調味料とは、酢小さじ2杯くらい、しょうゆ小さじ1杯くらいと中華スープを少々。お好みで辛味や魚醤(ぎょしょう)を少々垂らします。この調味料を和風だしで作るのもよし、コンソメにするのもよし、味の濃さもお好みで。
我が家のお気に入りの具は、夫が酒のつまみに買ってきた無塩アーモンドやカシューナッツをちょっと拝借し、すり鉢でゴリゴリ潰して豆乳に加えるパターン。パクチーにもよく合います。また、湘南のしらす干しや、小田原で買ってきた桜エビなどをちょっとごま油で炒めて加えても絶品です。ぜひ、日常のけん騒で疲れた身体に、優しい豆乳メニューをお試しください。
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- 鹹豆漿(シェンドウジャン)
諸星 千鶴
人気の地域情報誌「湘南よみうり」の編集長を勤めたのち、企業のサポートなどを行い、現在はりえぞんプロダクツ株式会社の代表として、企業広報や地域広報に携わる制作会社を絶賛経営中。ジモトを愛し、東奔西走する毎日。食べることが好き(でも好き嫌いは多い)、家事は下手。ラグビーとランニングを愛する1男1女の母。52歳。安曇野市出身、藤沢市在住。