かきざわ牧場
近所の子どもは知っている。牛と牛乳の尊さ
乳牛といっしょに
風通しのいい、涼しい牛舎
こんな住宅街に牧場が!
かきざわ牧場があるのは茅ヶ崎市甘沼の住宅街の中です。敷地内に入っても、においはほとんどありません。取材にお伺いしたとき、「ここが牧場!?」と驚いてしまったほど。
案内をしてくれたのは、牧場を運営する柿澤博さん(写真右)、美里さん(写真左)のご夫妻。靴の消毒をしてから牛舎に入ると、20頭ほどの乳牛が出迎えてくれました。
牧場内で母牛のお産も行い、その子どもを乳牛として代々育てているかきざわ牧場。生まれてから最期まで、世話と搾乳を毎日しながら守り育てています。
乳牛全員に名前が付いていて、「手前の大きな牛が『ももこ』、その娘の『なつこ』と『あきこ』、なつこの娘の『すず』」と博さんが教えてくれました。まさに家族同然の存在として愛情を注いでいることが伝わってきます。
地域の子どもが「あきこちゃん!」と
名前を呼べる
「都市型酪農ですから、地域の皆さんのご理解が大切なんです」と話す博さん。牛たちがのんびりと散歩をする小さな放牧スペースは、地域の人が気軽に牛を眺めることができるよう、道路に面した場所に作られています。
ここでは耳に付けている識別札(耳標)に牛の名前が書いてあるので、地域の子どもたちが「あきこちゃん!」と呼びかける姿もしばしば。牧場前の道路は、保育園のお散歩コースにもなっているそうです。
牛たちも呼びかけに驚くことはなく、まさに自然体の交流。酪農が日常に溶け込んでいる、優しい風景が見られました。
あきこちゃんです
牛舎の外でのんびり
放牧スペースの前で
小さな牧場で食の大切さを学べます
子どもたちに伝えたい、命の尊さ
かきざわ牧場は、酪農を通して食やいのちを学ぶ「酪農教育ファーム認定牧場」に登録しています。ファシリテーターとして大活躍しているのは、奥さんの美里さん。忙しい牧場の仕事や家事の合間を縫いながら、子どもたちのために乳しぼり体験や、酪農の仕組みについて学べる農場体験の受け入れを行っています。
近隣の小学校で行う体験授業も、畜産会とともに毎年行っています。牛を小学校まで連れていくので、子どもたちは大喜び。牛とのふれあい、酪農の話を通じて、「命・食の大切さを、目と体で感じて、身近に学んでほしい」と考えています。
子どもたちが「給食の牛乳を大切に飲むようになった」と言ってくれることが、なにより嬉しい、と美里さんは目を細めます。
かきざわ牧場のミルクを味わえる 「夢がかないます!」
最後に、博さん・美里さんが「夢がかないます!」とお話してくれた大ニュースをお伝えします。
かきざわ牧場の牛乳は大手乳業メーカーに出荷されています。しかし牛乳は衛生管理の法律が厳しいため、牧場で搾りたての牛乳を販売することはできませんでした。
転機が訪れたのは、うし年の2021年。地元茅ヶ崎のアイスクリーム店「プレンティーズ」で、かきざわ農場の牛乳が100%使われるようになりました。毎朝搾りたてのミルクを使った、鮮度抜群のアイスクリームは大評判です。
このプロジェクトがさらに進行し、かきざわ牧場を含む茅ヶ崎市内産生乳で作るミルクやチーズを販売するお店が、今年の8月に誕生しました。その様子は、「街時間」でも紹介します。
地元の子どもたちの「いつも見ている、茅ヶ崎の牧場の牛乳が飲みたい!」という夢がかないました!
牧場入り口のアイスクリームショップ「Persimon」
かきざわ牧場
◎住所/〒253-0004 茅ヶ崎市甘沼245
◎Webサイト/https://yahhos-farm.com/
☎090-8779-7165 ※酪農体験は要予約です。
牧場入り口のアイスクリームショップ「Persimmon(ペルシモン)」
◎営業時間/火・木曜日=14:30~16:00 土・日曜日、祝日=10:00~16:00 ※7・8月は18:00まで
◎定休日/月・水・金曜日 ※祝日は営業