茅ヶ崎に夏の訪れを告げる暁の祭典
「浜降祭」が4年ぶりに開催されました!
浜降祭は、毎年7月第3月曜日(海の日)に開催されるお祭りです。 夜明けとともに、寒川町と茅ヶ崎市の各神社から約40基ものお神輿が茅ヶ崎西浜海岸に参集します。砂浜いっぱいに担ぎ手と見物客がひしめく中、「どっこい、どっこい」という独特の掛け声とともにお神輿の乱舞が続きます。
各神社からお神輿が出発するのは真夜中です。町内ごとに鉢巻の色が決まっており、担ぎ手の一体感が高まります。
お神輿に参加する各家庭では、前日の昼~夕方から親戚やご近所の方が続々と集まって準備を始めるので、とてもワクワクする・・・という思い出を持つ茅ヶ崎っ子も多いのだとか。年に1回の特別な日として、世代を超えて伝承されています。
そして、みそぎのためにお神輿が海へ入り、クライマックスの瞬間が訪れます。
明け方の陽光の中、波しぶきを浴びながら進むお神輿の群は、壮観です。
浜降祭の由来
浜降祭がはじまった由来として、次のような話が伝わっています。
江戸時代中期にあたる天保9年(1838年)、寒川神社のお神輿が、大磯町で春に行われていた国府祭へ渡御した帰り道のこと。 相模川の渡し場で、寒川の氏子が争いを起こし、川に落ちて行方不明になってしまいました。 数日後、茅ヶ崎市南湖で網元をしていた孫七さんが、漁の最中に行方不明になっていた御霊(みたま)を発見し、寒川神社に届けてくれました。
この出来事がきっかけとなり、孫七さんへのお礼のために寒川神社のお神輿が南湖の浜へ出向き、みそぎをするようになったことが、浜降祭のはじまりであると言い伝えられています。また、江戸時代後期に編集された「新編相模国風土記稿」によると、茅ヶ崎市浜之郷にある鶴嶺八幡宮では、古来よりみそぎの神事のために浜辺への渡御が行われていた、とされています。こちらの伝承も、浜降祭の由来となっているようです。
浜降祭はここが違う!
浜降祭の神輿は湘南地方独特のスタイルで、テレビでよく見る東京の神輿と違うところがあります。 神社名を記す駒札は布製で、神社ごとに色が決まっています。ちなみに、屋根の上の大鳥(=鳳・おおとり。愛着を込めてニワトリと呼ぶ人も)がくわえているのは、地元産の稲です。 江戸の神輿は担ぎ棒が井桁に組んでありますが、湘南地方は2本並行に並んでいます。担ぎ棒の内側に入って担ぐのが正統派。横棒の代わりに、「鐶(かん)」(通称・タンス)と呼ばれる拍子を取る取っ手がついています。白い飾紐(かざりひも)をキリリと締めると、鈴が当たってきれいに鳴ります。
掛け声は「わっしょい」ではなく「どっこい!どっこい!」。さらに「どっこいそりゃ、元気ねえぞ」などと威勢を付けていきます。タンスや鈴の音に合わせて、担ぎ手たちが歌うのが「茅ヶ崎甚句(じんく)」です。ユーモラスな歌詞とともに、眠気を吹き飛ばし、海まで担いでいきます。