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キリンとゾウの骨格標本の間で手を広げているリポーター

約300点の骨格標本

神奈川県藤沢市、小田急江ノ島線の六会日大前駅からわずか徒歩4分の場所にある日本大学生物資源科学部博物館。2019年のリニューアルで「骨の博物館」というキャッチーな愛称がつきました。約300点の骨格標本に加え、実は生物資源科学部の11学科に関わる約2500点の資料が全て集結しています。ここは、命の多様性をギュッと凝縮した超・知的な空間です。

当館の学芸員である田中雅宏さんは、運営から標本の収集・管理まで、何でも担当されています。田中さんは「大学が持つ専門的な知識を、皆さんや高校生など次世代の学びたい人たちに分かりやすく伝える、架け橋的な役割が私たちの役目です」と語ります。ここでは、一般の方が触れる機会の少ない大学での学びを垣間見ることができます。

日本大学生物資源科学博物館の外観
小田急江ノ島線「六会日大前駅」からわずか徒歩4分の日本大学生物資源科学部博物館。正門を入って左側にあり、「骨の博物館」の骨をモチーフにしたかわいいロゴが目印です
学芸員の田中雅宏さん
運営から標本管理まで担当されている学芸員の田中雅宏さん。1階にあるお気に入りの鳥の標本の前で 。生物の多様性について、専門的な視点と情熱をもって語ってくださいました
圧巻のクジラの骨格標本
圧巻のクジラの骨格標本。お二人と比較するとその巨大さがよく分かります。この骨格は、クジラが哺乳類であることや、祖先が陸上動物だった進化の真実を映し出しています。
田中さんおススメの「学びのコツ」は、自分の体と比べること。身振り手振りを交えながら、ヒトの手の構造と動物の骨格の共通点や多様性を分かりやすく教えてくださいました。
ベンガルトラの展示は、同じ個体の剥製と骨格標本が並べられています。外見と内部構造を比較することで、生物の形態を楽しく理解できます。

圧巻のコレクションは、まさに進化の真実を映し出しています。ここには、命が学術的な知識へとつながる「命のバトン」が息づいているのです。田中さん曰く、「大きな動物の標本は、遺体として寄贈された命に、学びの資料として『第二の生』を与える作業なんです」。

特に目を引くのは、巨大なクジラやトラの標本です。クジラの首の骨がヒトや他の哺乳類と同じ7個で構成されていたり、祖先が陸生動物だった痕跡である寛骨(かんこつ)の名残があったりと、展示は進化の証を如実に物語っています。また、トラの展示は剥製と骨格標本が同じ個体で並べられており、外見と内部構造を比較することで、生物の形態学的理解を深める絶好の機会を与えてくれます。

館内では、田中さんおススメの「学びのコツ」があります。それは自分の体と比べることです。パッと見、全然違う形をしているキリンの骨格も、ヒトの手の甲、手首、肘といった基本的なパーツ構成は共通しています。しかし、キリンは手の甲が長く伸び、指先だけで立っている状態。つまり、進化によってパーツの形や長さが変化したという多様性を、自分の手を動かしながら「なるほど!」と直感的に理解することができるのです。

館内の2階と3階では、単なる⾻格展⽰を超え、学術的な価値とともに、地域と⽇本の⾃然・⽣活史に深く関わる貴重なコレクションに触れられます。

2階の展⽰室は、暮らしを⽀えた命の記録「家畜・伴侶動物」がテーマ。私たちの⾷⽣活を⽀えてきた⽜や豚といった家畜、そして⾝近な伴侶動物たちの標本が並び、⽣物資源科学部ならではの専⾨的な視点から、その⾻格の構造や歴史を学ぶことができます。

中でも、田中さんが「この木曽馬(キソウマ)のコレクションは、私たちが特に貴重だと感じているんです」と語るように、日本の在来馬である木曽馬の剥製、骨格標本、そして非常に珍しい心臓標本は必見です。木曽馬は海外の品種との交配を免れた希少品種です。この展示は、日本の農業史における在来種の価値と、命をつなぐ人々の思いを伝える重要な場所です。

3階は、⽇本⼀のコレクションと⽣活の知恵。⽣命科学の「神髄」に触れる学術的な標本群と、歴史的な⽣活資源を扱う展⽰室の⼆部構成となっています。

まず⽬を引くのは、森林学科の元教授から寄贈された⽇本⼀のナガシンクイムシ科コレクションを含む甲⾍の標本。膨⼤な数の昆⾍が学術的な奥深さを感じさせ、図鑑やゲームでおなじみのトリバネアゲハなども並び、幅広い来館者が⽣物への興味を広げる「きっかけの場」を提供しています。

また、展⽰室の⼀⾓には、稲の栽培起源に関する研究資料や、昔の農具・漁具といった⽣活の知恵を伝える⺠具も並びます。特に、昔ながらの技術で作られた⽵籠は、その精巧な作りから⺠具の研究者も感嘆したという逸話を持つほど。これらの展⽰は、⾷料や⽣活を⽀えてきた⽣物資源、そして⼈々の営みの歴史を総合的に紹介する、地域に根ざした学びの⼊り⼝ともなっています。

家畜や人間とパートナーとして共生する動物の標本
2階の展示室には、家畜や人間とパートナーとして共生する動物の標本がまとめられています。また、ここには大学の講義で使用される専門的な標本も収められています
貴重な木曽馬(キソウマ)の標本
田中さんおススメの貴重な木曽馬(キソウマ)の標本。日本の在来馬として歴史的価値があり、生前愛されていたこの馬には、飼育地の方々が人参を持って訪れた心温まるエピソードがあります
モルフォチョウ
透明標本
左)3階の昆虫ブースで目を引くモルフォチョウ。青く輝く姿から、「空飛ぶ宝石」とも呼ばれています
右)博物館ボランティアの学生が制作した1階の透明標本。硬骨を赤、軟骨を青に染色します
甲虫標本を展示する企画展「岩田甲虫コレクション」
現在、3階では元森林資源科学科教授が寄贈した莫大な甲虫標本を展示する企画展「岩田甲虫コレクションII」を開催中(会期:2026.5.16まで)。この貴重なコレクションは、生物への興味を深めるきっかけの場を提供しています。
アザラシ、みなぞうくんの骨格標本と頭部の剥製
新江ノ島水族館で人気を博したミナミゾウアザラシ、みなぞうくんの骨格標本と頭部の剥製。ファンの方が多く、「ここでまた会えた」と感激される方もいらっしゃるそうです
サメや魚など海で暮らす生き物の骨格
サメや魚など海で暮らす生き物の骨格
1階には、サメや魚など海で暮らす生き物の骨格も多数展示されており、身近な魚の骨を通して、生物の多様性と進化の面白さに触れることができます
稲の起源をテーマにした標本や農具・漁具
稲の起源をテーマにした標本や農具・漁具
3階では、生物資源科学部の11学科に関連する資料として、稲の起源をテーマにした標本や農具・漁具といった、地域の歴史や自然に深く関わるコレクションにも触れられます

『骨の博物館』は、大学の施設でありながら、一般来館者に毎週月曜日から金曜日と第1・3土曜日に公開されています。(※2・3階の展示は、木曜日と第1・3土曜日のみ公開)

田中さんは「私たちはこの博物館を生物資源科学部の研究成果を発表できる場にしていきたいと思っています」と未来へのビジョンを語ります。現在、展示室は1階「骨を見る」、2階「骨を知る」、3階「骨を極める」という体系的なアプローチで整備中。大学という専門的な「知識の泉」が、地域住民や子どもたちにとって「好奇心をくすぐるきっかけ」となるよう、田中さんの努力は続きます。

生物の多様性と進化の軌跡を知り、知的好奇心が刺激されるこの特別な空間に、ぜひ一度足を運んでみてください。

陸・海・空の生き物約300点の骨格標本
1階は「骨を見る」がテーマ。陸・海・空の生き物約300点の骨格標本が並び、命の多様性と進化の軌跡を感じられる空間が広がります

日本大学生物資源科学部博物館『骨の博物館』

◎住所/〒252-0880藤沢市亀井野1866
◎アクセス/小田急江ノ島線「六会日大前駅」下車。西口より徒歩4分
◎電話/0466-84-3892
◎開館日時/月~金曜日・10:00〜16:00、第1・3土曜日・10:00〜12:30
※2・3階展示室の見学は、木曜日、第1・3土曜日のみ
◎休館日/日曜日・祝日(第2,4,5土曜日)・その他大学の休日
◎ホームページ/https://hp.brs.nihon-u.ac.jp/~museum/

坂内 愛

ナビゲーター

坂内 愛

Ai Sakauchi

神奈川県出身|オフィスエルアール所属

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