
『レストラン こぶた』

綾瀬の街角で:
今日も変わらぬ味と温もりを
綾瀬市の住宅街にたたずむ「レストラン こぶた」は、創業1981年、ご夫婦で40年以上にわたり営む人気店です。一歩足を踏み入れると、そこはまるでタイムスリップしたかのような、懐かしくも温かい空間。喫茶店のような親しみやすさと、アットホームな雰囲気が、訪れる人を優しく包み込みます。小さな仕切りで区切られた店内は、まるで自宅のリビングにいるかのような心地よさで、日々の喧騒を忘れさせてくれます。
ご主人の武藤政乱(まさはる)さんと奥さまのフミ代さんが迎えるこの店は、洋食・和食・中華と多岐にわたるメニューが魅力。驚くのはそのボリューム感ですが、ただ量が多いだけでなく、盛り付けは立体感があり、その美しさに目を奪われます。もちろん味も一流。長年の経験に裏打ちされた確かな腕が光ります。


下:厨房から響く心地よい音と共に、気取らない笑顔のご主人 武藤政乱さんが迎えてくれます。


下:鉄板いっぱいに広がる、厚切りのポーク生姜焼き。ライスとみそ汁もついた、ボリューム満点の定食です。
「こぶた」に込められた夫婦の物語:
情熱が生んだ綾瀬の名物
店名の「こぶた」は、ご主人が東京での勤めの帰り道、偶然立ち寄ったハワイアン音楽が流れる居心地の良い店に由来するとか。その楽しい雰囲気と印象が忘れられず、ご自身の店に名付けたそうです。ロゴに描かれた可愛らしい逆さまの豚は、奥さまが息子さんの絵本をモデルに描いたものです。「目立つから」というユニークな理由が、ご夫婦の飾らない人柄を表しています。
元々は横浜で飲食店を営んでいた武藤さんご夫婦ですが、お子さまの誕生を機に、フミ代さんのご実家がある綾瀬へ移転。店舗付き住宅を探す中で、偶然見つけたのが現在店を構える土地です。開店当初から地元工業団地の企業や役所、JAとの縁も深く、綾瀬の地で地域に根差した店として歩んできました。
ご主人の政乱さんは、東京の名門大学野球部で活躍後、大手メーカーに就職したという異色の経歴の持ち主。しかし、食への探求心は尽きず、会社を辞めた後、横浜は山下町のイタリア料理店で洋食の基礎を学び、カレーハウスでカレーの神髄を極め、さらにはとんかつ専門店でソースの調合まで修行を積んだというから驚きです。まさに肝の座った「昭和の男」を体現しています。実直でどこまでも食を追求する探求心が、今の「こぶた」の多種多様で奥深い味の礎となっています。奥さまはそんなご主人の飽くなき探求心を温かく見守り、時に軽妙なツッコミを入れながら、夫婦二人三脚で店を切り盛りしています。調理場ではご主人の弟さんご夫婦も共に腕を振るい、家族一丸となってお店を支えています。 その絶妙な掛け合いも、「こぶた」の魅力の一つと言えるでしょう。


下:食べ応えのある海老巻きポークカツと、千切りキャベツや野菜の美しいコントラスト。サクサクの衣とプリプリのえびが絶妙な一品です。

親子二代で愛される味:
地域と紡ぐ心温まるエピソード
「レストラン こぶた」の看板メニューは、綾瀬市商工会と市の観光課が認定した名物「あやせとんすきメンチ」。肉がたっぷり詰まった、まるで「すき焼き」のような濃厚な旨味が凝縮された逸品です。綾瀬の郷土料理「豚すき」のおいしさを気軽に楽しめるメニューとして人気を博しています。その他にも、ご主人が修行を積んだとんかつや、お客さんのリクエストから増えていったチャーハンなど、和洋中バラエティー豊かなメニューが揃います。どれもボリューム満点で、初めてのお客さんにはその量の多さに驚かれることも。お客さんが初めての友人を連れてくる時には「ここのは量が多いから」と、事前に説明をするほどだとか。
40年以上の長きにわたり店を営む中で、多くの心温まるエピソードも生まれてきました。昔、子どもだったお客さんが大人になり、今度はご自身のお子さまを連れて来店することも珍しくありません。特に「昔と同じ味だね」という言葉は、ご夫婦にとって何よりの喜びだと言います。近所の綾瀬高校OBや、自衛隊関係者など、お客さんとの繋がりも深く、転勤で各地へ行った自衛隊員が、久しぶりに綾瀬に戻ってきた際に、「こぶた」の変わらぬ味に懐かしさに浸る姿もあるそうです。どんな時にも、持ち前の明るさと人柄で変わらぬ笑顔で店を開き続けてきました。


下:ゴロンと丸いハンバーグに、自家製ソースがたっぷり。一口食べれば幸せな気分になる、ライス付きのハンバーグステーキ。


「おいしかった」が明日への力:
綾瀬のお客さんと、
いつも一緒に
「レストラン こぶた」は、地域の人々の胃袋と心を長年満たし続けてきました。個人経営の定食屋さんが減り、チェーン店が増える現代。「こぶた」の存在は、まるで実家に帰ってきたかのような安らぎと、手造りの温かさを提供してくれる貴重な存在です。ご主人の探求心が生み出す多彩なメニューと、奥さまの温かい見守りの中で営まれる店は、訪れる人々にとってかけがえのない場所となっています。
ご主人は、お客さんからの「おいしかった」という一言が、何よりも明日への活力になると言います。その言葉を胸に、今日も厨房に立ち、熟練の技で一皿一皿に真心を込めています。
綾瀬で店を開いて以来、お客さんと共に歩んできた武藤さんご夫婦。「レストラン こぶた」は、今日も変わらず、綾瀬の街とお客さんに寄り添いながら、心温まる「おいしい」を届け続けています。単なる食事を提供する場所ではなく、地域の人々の思い出を紡ぎ、暮らしの中に確かな温かさを添える、そんな存在であり続けています。

レストラン こぶた
◎住所/〒252-1134 綾瀬市寺尾南3-16-13
◎営業時間/11:00~14:00、17:00 ~20:00(出前受付/お昼9:30~13:30・夜17:00~19:45)
◎定休日/木曜日(他に臨時休あり)
◎バス停「寺尾」下車すぐ
◎ホームページ/http://restaurant-kobuta.com/
◎TEL/0467-76-1717
『大久保商店』

綾瀬に息づく肉の歴史と情熱:
幻の豚から受け継がれる
「真の味」
綾瀬市に明治39年(1906年)から続く老舗、それが「大久保商店」です。ひいお爺さまの代からこの地で農業を営み、食文化を支えてきました。今は食肉の販売専門ですが、肉を知り尽くした大久保豊さんの職人肌と情熱が、今日も綾瀬の食卓を豊かに彩ります。



幻の銘柄豚「高座豚」と
受け継がれる魂
「大久保商店」のルーツを語る上で欠かせないのが、かつて綾瀬で生産されていた銘柄豚「高座豚」です。明治時代にイギリスから輸入された中ヨークシャー種を改良し、脂が甘くきめ細かなその肉質から「幻の豚」とまで称された高座豚。大久保商店は、まさにその高座豚を育てていた養豚農家を祖とするのです。
しかし、中ヨークシャー種は病気がちで生産コストが高く、昭和の高度成長期には大ヨークシャー種など他の品種に置き換わり、惜しまれつつも生産が途絶えてしまいました。それでも、大久保さんのお祖父さまは、町の活性化と地域の誇りのため、この高座豚を再興しようと奮闘されたといいます。大久保さんが語る高座豚の歴史からは、失われたブランド豚への深い敬意と、それを現代に伝える使命感がひしひしと伝わってきます。現在「とんかつ高座」をはじめとする名店で提供される豚肉は、大久保商店が培った目利きによって厳選された最高の肉が選ばれています。
綾瀬を代表する「看板商品」の誕生秘話
養豚業から食肉販売専門へと形を変えても、「大久保商店」が追求する「真の味」へのこだわりは変わりません。その代表格が、かながわの名産100選にも選ばれたおおくぼの「豚みそ漬」とおおくぼの「てごろ漬」です。これらは、昭和初期に冷蔵庫がない時代の保存方法として始まりました。昔は塩味が強かったみそ漬けも、今は複数のみそをブレンドしたオリジナル調合により、甘みと旨みが絶妙なバランスに進化しています。
みそ漬けを食べる時は、中火でふたをし、蒸し焼きにするのがコツです。バーベキューではアルミ箔で包んだり、野菜と一緒にちゃんちゃん焼き風にしたりと、さまざまなアレンジで楽しめます。
その味と品質は、地域を超えて認められています。「みそ漬けを手土産に持参したお客さんがビジネスの契約を勝ち取れた」「粗相をしてしまった際も、このみそ漬けのおかげで許された」といったエピソードがお客さんから寄せられるほど。単なる食品を超え、人と人とのつながりを円滑にするブランド品としての価値を確立しています。



地域を盛り上げる
「食のイノベーション」
「職人肌」の経営者でありながら、地域の食文化を盛り上げる「イノベーター」でもある大久保豊さん。彼のこだわりは、一つひとつの肉と向き合う真摯な姿勢に表れています。
肉は全て大久保さん自身の手切り。部位や豚の個体差に合わせて、自らの手で100グラム以上の大きさに切り分けていきます。肉の繊維を指先で感じ取り、一番おいしくなる角度を見つけて包丁を入れます。最高の味を引き出すためのその徹底ぶりは、まさに「大久保商店の味」を守り続ける職人の技です。
そこには、代々受け継がれてきた肉への深い知識と愛情が息づいています。
大久保商店は、多くのユニークな活動を通して地域貢献にも尽力してきました。中でも特筆すべきは、綾瀬市商工会とブタロケ隊が連携・開発したご当地グルメ「あやせとんすきメンチ」の開発リーダーを大久保さんが務めたことです。綾瀬の新しい名物を作ろうという情熱のもと、綾瀬の郷土料理「豚すき」をモチーフに試行錯誤を重ねて開発されました。3~4年かけて県内外、数百人へのアンケートも実施し、市長のお墨付きを得て完成したこのメンチは、今や市内のレストランで提供される人気メニューとなりました。
このあやせとんすきメンチと並び、店先で提供される揚げ物も大久保商店のもう一つの顔です。午前中には揚げ物目当てのお客さんで大混雑となり、作っても作っても出ていくほどの人気ぶりで、お肉よりも売れる時間帯があるとか。比較的入手しやすい午後の時間帯を狙って来店する常連客もいます。


下:レストランこぶたや高座豚手造りハムでも販売している、大久保さん開発の「あやせとんすきメンチ」。揚げたて熱々がすぐに買える人気商品です。


下:「綾瀬には駅がないから」という先代の思いから生まれた駅名板。ユーモアあふれるたたずまいに、思わずバスを待ちたくなります。
綾瀬愛が生んだ
「とんちゃん号」と「幻の駅」
中原街道のランドマークとして親しまれる、愛らしい豚の姿をした宣伝カー「とんちゃん号」は、大久保商店が単なるお肉屋さんではなく、地域と共に歩む存在であることを物語っています。この「とんちゃん号」の横には、先代が「綾瀬には駅がないから」という思いで設置した「駅名」の看板が設置されています。本物のバス停と間違えて、看板の前でバスを待っていた方がいたという微笑ましい逸話は、大久保商店のユーモアと、地域に寄り添う温かい心が表れています。車体に記された「大」の字をモチーフにしたお店のロゴマークも、創設者の想いが込められた意味深いデザインとなっています。
綾瀬の「食」の未来を担う
老舗の挑戦
「ぜひ、召し上がったことがない方には、一度味わっていただきたいです」と語る大久保さん。その揺るぎない自信の背景には、おいしい豚肉を育ててくださる生産者の方々への深い感謝がありました。幼い頃から親御さんが生産者として多忙な日々を送る姿を見てきた大久保さんだからこそ、豚を飼育することの大変さを誰よりも知っています。
「生産者の努力によって生み出された最高の食材があるからこそ、自信を持ってお客さんに提供しています」
「昔と今とでは生活の様式が変わった。次の世代につなぐためには、時代に合わせた形態の模索が必要」と、大久保さんは未来への展望を語ります。現状を大切に維持しつつも、伝統を次世代へ継承することを使命とし、新商品開発にも意欲を見せています。綾瀬の食文化の礎を築き、その進化を牽引してきた大久保商店。確かな品質と職人としての情熱、そして地域への深い愛によって、今日も綾瀬のおいしい食卓を支え、未来へとその豊かな「肉の道」を拓いていくことでしょう。


下:笑顔に仕事への情熱があふれる大久保さん。ポロシャツのロゴマークは、その証です。
大久保商店
◎住所/〒252-1125 綾瀬市吉岡東5-2-14
◎揚げ物を揚げる時間帯/午前の部(月〜土曜日)10:30~12:00・午後の部(月〜金曜日)16:30~17:30
※電話予約可<午後の部の作り置きはございません>
◎定休日/日曜日(臨時休業あり)
◎バス停「吉岡芝原」「綾瀬車庫(神奈中)」下車3分
◎ホームページ/https://www.instagram.com/tonchan.5/
◎TEL/0467-78-0010
『とんかつ高座』

綾瀬の地で27年、愛され続ける味:
温かい人柄と素材への感謝が
織りなす極上の一皿
綾瀬の地で27年。地域に深く根差し、多くの人々から愛され続ける名店、それが「とんかつ高座」です。お昼時、店内に足を踏み入れると、女将の高嶋久子さんと娘の船木美和さんが、忙しくも息の合った様子で活気ある厨房を切り盛りしていました。手書きの温かみあるメニューが並ぶお座敷とカウンター席は、長年通い続ける常連客で賑わい、その愛される理由がひしひしと伝わってきます。



下:気取りがなくくつろげる店内。奥は障子もあって隠れ家のよう。
息ぴったりの連携が生む
「おふくろの味」
お昼時の活気あふれる厨房で、高嶋さんと船木さんは、見事な連携プレーを見せてくれます。普段はパートさんも含め3人体制で営業していますが、取材当日はお2人で切り盛りする多忙な日。しかし、そこには一切の乱れがありません。女将さんがお肉の仕込みや揚げを担当し、娘さんが調理を進めるという完璧な分担です。
高嶋さんが手際よくロース肉やヒレ肉をさばき、パン粉をまぶす姿は、まさに長年の経験が培った職人の技。肉の端材を味噌汁のだしに使う工夫は、食材を無駄にしないという昔ながらの知恵と、お客さんへの惜しみない愛情の証です。この「おふくろの味」とも言える温かいみそ汁が、とんかつのおいしさをさらに引き立てています。一方、娘の船木さんは、小鉢の調理やお客さんへの細やかな気配りを通して、お店全体の温かい雰囲気を創り出しています。家族で力を合わせ、お客さん一人ひとりに心を込めた「おもてなし」を届ける。その姿こそが、「とんかつ高座」が長年愛され続ける理由の一つと言えるでしょう。
妥協なき素材選び:
綾瀬が誇る「おいしい」の競演
「とんかつ高座」の美味しさの核は、その一切妥協しない「素材選び」にあります。とんかつの主役であるお肉は、綾瀬の名店「大久保商店」から毎日届けられる新鮮な豚のロースとヒレ肉です。高嶋さんいわく、大久保商店からは毎日ロース1本、ヒレ5本が届けられ、その鮮度は折り紙付き。この新鮮で質の良いお肉だからこそ、サクサクの衣をまとった時に、ジューシーで柔らかな極上のとんかつが生まれるのです。
揚げ物に欠かせない衣のパン粉にも、徹底したこだわりが光ります。パン粉専門メーカーから仕入れる生パン粉は、カリカリとした食感の要。女将さんは毎日その焼き具合を確認し、最高の状態でお客さんに提供できるように心を配ります。また、卵は地元綾瀬産の生みたての新鮮なものを仕入れる徹底ぶり。エビフライのエビも、エビ専門商社から大ぶりのものを厳選し、冷凍せずチルドで管理するなど、細部にわたるプロの意気込みが光ります。
そして、とんかつ定食を彩る野菜にも、綾瀬の恵みが凝縮されています。日替わりの手作り小鉢には、季節ごとの旬の素材(たけのこ、夏野菜など)をふんだんに使用。「季節のものを使う」という女将さんのこだわりが、訪れるたびに新しい発見と楽しみを提供してくれます。お店で提供される野菜の中には、お客さんである地元の農家さんが採れたてのものを直接届けてくれるものもあるそうで、地域との温かい交流の深さが伺えます。


下:「上ひれ定食」。希少部位ならではの、きめ細かく柔らかな食感。サクッとした衣との絶妙なハーモニーがたまらない。


下:「ひれみっくす定食」。大きなエビフライと柔らかなヒレ肉を、一緒に楽しめる贅沢な一品です。
27年の歴史が育んだ、世代を
超えた「家族」のような絆
「とんかつ高座」は、この綾瀬の地で27年もの長い歴史を刻んできました。その間、多くのお客さんが常連となり、今では単なる飲食店と客という関係を超えた「家族」のような絆を育んでいます。高嶋さんは、遠方からわざわざ足を運ぶお客さんや、長年通い続けてくれるお客さんへの感謝を口にします。
「赤ちゃんだった子が、いつの間にか大人になって、今度はその子が孫を連れて食べに来てくれることもあるんですよ。ハイハイしていた子が大学生になったり、社会人として頑張っていたり…。そういう姿を見られるのが、私たちにとって一番の喜びです」と、女将さんの目には温かい光が宿ります。お客さんとのたわいない会話を楽しみ、絆を強くしていくこと。それが、高嶋さんと船木さんにとって、お店を続ける何よりの原動力なのです。
常連さんの中には、来店前に電話で混み具合を確認し、事前にオーダーを入れる方もいるほど。お客さんもお店に寄り添い、共に歴史を紡いできたことが伺えます。
綾瀬への深い愛情と、
未来へ繋ぐ「食」への想い
高嶋さんと船木さんの想いは、「とんかつ高座」の味と「おもてなし」を通して、綾瀬の魅力を多くの人に伝えたいということに集約されます。豚肉だけでなく、新鮮な野菜や卵など、綾瀬にはおいしい食材がたくさんあることを、とんかつを通して知ってほしいと願っているのです。
現状に決して満足することなく、常にお客さんへの感謝を忘れない―。そんな真摯(しんし)な姿勢は、お二人を支える揺るぎない信念の表れです。
「綾瀬のおいしいものを、新鮮な素材を使って、真面目に丁寧に作り続けていきたい。そして、綾瀬に足を運んで、このとんかつを食べに来て、楽しんでいただければ一番ありがたい」と高嶋さんは笑顔を見せます。その優しい笑顔の奥に秘めた、地元の食への揺るぎない愛情が、これからも「とんかつ高座」の温かい味となって、地域の人々の胃袋を満たすことでしょう。


下:「とんかつ高座」の味と「おもてなし」を通して、綾瀬の魅力を多くの人に伝えたい。そう熱く語る高嶋さんの思いが、料理にも表れている。
とんかつ高座
◎住所/〒252-1108 綾瀬市深谷上6-1-37-101
◎営業時間/月・水~日曜日 11:30〜15:00、18:00〜21:00
◎定休日/火曜日
◎バス停「中郷」「綾瀬小前」下車1〜3分
◎TEL/0467-76-7781
『高座豚手造りハム 綾瀬本店』

安心・安全な高座豚の恵みを食卓へ!:
手造りハムに込められた
職人の技と地域への愛情
綾瀬市に拠点を置く「高座豚手造りハム 綾瀬本店」は、その名の通り、ハムやソーセージといった肉製品を自社で手造りし、新鮮なまま食卓に届けることに情熱を注いでいます。スーパーバイザーの辻直幸さんは、同社のベーコンに惚れ込み、その味に導かれるように転職してきたという、まさに「高座豚」の味の伝道師。辻さんが語る製品づくりへのこだわりや地域との絆は、単なる食肉加工にとどまらない、深い物語を感じさせます。


下:このベーコンに惚れ込み、転職してきたスーパーバイザーの辻直幸さん。商品の魅力を誰よりも知る専門家が、丁寧に案内してくださいました。


高座豚手造りハムの大きな強みの一つは、親会社である「ブライトピック」が養豚場を持っていること。そこでは、飼料用品種のお米を与え、豚を育てています。一般的な飼料がコムギやトウモロコシである中、お米を与えることで、豚肉の脂に豊かな甘みとまろやかさが生まれる、と辻さんは言います。これは味の追求だけでなく、日本の食料自給率向上にも貢献するサステナブルな取り組みです。創業者の志澤会長が掲げた「全て国産にこだわる」という理念のもと、添加物を極力使わず、安全・安心な製品を提供することをモットーにしています。
伝統と進化を両立:
職人技が光る製法と
「最速」の鮮度
高座豚のハムやソーセージには、昔ながらの製法と職人の技が息づいています。特に人気のベーコンやロースハムは、加熱せずにそのまま食べられるほどのおいしさが特長。辻さんも前職時代にこのベーコンに魅了され、「一度食べると他のものが食べられない」とまで語るほどです。年間1万本以上を出荷する人気ぶりは、その品質の証と言えるでしょう。


下:ずらりと並んだ、バラエティー豊かな手造りハム。素材と製法にこだわった、自慢の品々が食欲をそそります。


同社の製品づくりで特筆すべきことは、「鮮度へのこだわり」。豚の解体から加工、そして出荷までを、なんと最短で4〜5日、最長でも1週間以内に完了させます。一般的な保存食としてのハムやソーセージのイメージとは異なり、いかに新鮮な状態で消費者のもとに届けるかを追求しています。これは、豚の脱骨から加工までを一貫して自社工場で行い、店頭販売までを一元管理できる、「高座豚手造りハム」ならではの強みです。ドイツのマイスターから学んだ本場の製造方法を守りつつも、商品開発の際には最先端の技術を取り入れ、伝統と進化を両立させています。
心温まるお客さんとの対話:
食卓を彩るアイディアと
地域連携
高座豚手造りハムでは、お客さんとのコミュニケーションを大切にしています。小規模な店舗で、訪れるお客さんとの会話を通じて、どんな商品が求められているのか、どんな食べ方が喜ばれるのかを常に察知していると辻さんは言います。
例えば、お客さんの声から生まれたのが、一人暮らしや少量ずつ食べたい方向けの「真空パック惣菜」。手造りの角煮やトマト煮などが、レンジで温めるだけで手軽に楽しめるように工夫されています。季節や曜日ごとに異なる手造り惣菜も人気を集めています。火曜日の酢豚や週末のモツ煮込みは、夕飯の一品として大好評です。さらに、店内で提供される揚げたてのコロッケやメンチカツも、お昼時やちょっとした軽食に大人気。お客さんからの「時間がないけどおいしい揚げたてが食べたい」という声に応え、注文が入ってから揚げるサービスも行っています。揚げたてならではのサクサクとした食感と、高座豚の旨味が詰まったジューシーな味わいは、一度食べたら忘れられない逸品です。


下:少量パックやお惣菜が並ぶ「よくばりコーナー」。いろいろな種類を少しずつ楽しみたい、そんな願いをかなえてくれます。


下:すぐそばの福祉施設の利用者さんと栄養士さんが心を込めて作ったコロッケサンド。ひとつひとつ丁寧に作られた、温かい気持ちがこもった人気商品です。
地域との連携も強く、店舗では地元の「みのりファーム」の新鮮な野菜を販売したり、綾瀬市内の福祉施設「貴志園(たかしえん)」の利用者さんと栄養士さんが造ったパンやサンドイッチを置いたりしています。特に「貴志園」のコロッケサンドは、高座豚のコロッケと利用者さんと栄養士さんが造ったパンのコラボレーションで、すぐに売り切れてしまうほどの人気商品。これらの商品に使用される高座豚は、その品質の高さから「かながわの名産100選」にも選ばれています。心がこもった製品は、地域全体も元気にしてくれます。
「おいしい」がつなぐ未来:
食育とブランドへの情熱
高座豚手造りハムは、食育活動にも積極的です。夏休み期間中には、特に子どもたちを対象とした工場見学を実施。実際に豚肉がハムやソーセージになるまでの様子を見られるのは、食への理解を深める貴重な機会を提供しています。子どもたちから「お肉が加工されていく様子を見られるのはとても勉強になる」と喜ぶ声が多く寄せられているそうです。


辻さんは、「安全・安心をモットーに、おいしい高座豚を皆さまに少しでも召し上がっていただこうと、スタッフ一同、製造も販売も一生懸命お肉造りに精進しております。ぜひ一度お立ち寄りいただき、おいしい高座豚の製品を味わっていただけると嬉しいです」と、力強いメッセージを送ります。
養豚場から食卓まで、一貫したこだわりと安全・安心を追求する高座豚手造りハム・綾瀬本店。今日も変わらず、地域との絆を大切にしながら、高座豚の豊かな恵みを未来へとつないでいます。
高座豚手造りハム 綾瀬本店
◎住所/〒252-1124 綾瀬市吉岡2366‑8
◎営業時間/10:30~18:30(揚物受付18:20まで)
◎定休日/第3月曜日・年末年始(繁忙期は営業)
◎バス停「農大入口」「国分寺台第10」下車3〜5分
◎ホームページ/https://www.kouzaham.or.jp/
◎TEL/0467‑76‑8611
『矢部商店』

綾瀬の風土と想いを紡ぐ一本
「あやせ本醸造」:
地域と育む豊かな食卓
市道4号、不動明王座像がひっそりとたたずむ赤坂バス停そばにある「矢部商店」。この地域で四代続く老舗の酒店は、単にお酒を売るだけでなく、地域に根差し、人と人、そして食の恵みをつなぐ温かい場所として親しまれています。物静かながらも、その瞳の奥には熱い情熱を秘めた四代目店主・矢部貴洋さん。矢部さんが語るのは、綾瀬への深い愛情と、地元の「おいしい」を追求し続ける真摯な姿勢でした。



綾瀬への深い愛が生んだ地酒:
「あやせ本醸造」誕生の物語
矢部商店の看板商品「あやせ本醸造」は、矢部さんの「綾瀬に地酒を造りたい」という熱い想いから生まれました。しかし、その道のりは決して平坦ではありませんでした。元々は綾瀬産以外の米を使用し、ラベルのみ「綾瀬ブランド」として販売されていたこのお酒。綾瀬市の名産品として正式に登録するためには、地元産の原料を使うことが必須でした。
父の代からの長年の課題であった「綾瀬市内で酒米を生産する農家」を探すという難題に、矢部さんは粘り強く取り組みます。吉岡の農家、古郡さんが酒造好適米「五百万石」の栽培を請け負ってくれることに。目久尻川沿いの田んぼで育てられた酒米。そして、醸造は秦野の金井酒造店に委託。矢部さんの情熱と多くの人の協力が実を結び、真の「あやせ本醸造」が誕生したのです。


この地酒には、矢部さんの想いが詰まっています。特に、火入れせずに冷蔵保存で提供される12月限定の搾りたて原酒は、フルーティーで芳醇な香りが特長。口当たりが良く飲みやすい味わいは、濃い目の味付けの料理や、ウナギなどとの相性が抜群です。反面、お刺身のような繊細な料理にも合わせやすく、幅広い食卓で楽しめます。矢部さんは「冷や」や「常温」で飲むのがおすすめと、日本酒初心者にも親しみやすい飲み方を教えてくれました。
地域の恵みを形に:
コラボ商品に込めた想い
「あやせ本醸造」の誕生は、地域との新たなコラボレーションの始まりでもありました。かつては、この日本酒の酒粕を使った「あやせ本醸造あんぱん」も販売されていましたが、残念ながらパン屋さんの廃業により、今では「幻のあんぱん」として語り継がれています。しかし、酒粕そのものは12月下旬〜4月頃にかけて矢部商店のほかJAさがみのグリーンセンター綾瀬でも限定販売され、毎年好評を博しています。地元のお母さんたちが、この酒粕を使って粕汁や甘酒を作ったり、パン生地に練り込んだりと、それぞれの家庭で綾瀬の恵みを楽しんでいる姿が目に浮かびます。



下:収穫用のバスケットいっぱいのブルーベリー。
さらに、矢部商店では「あやせ本醸造」をベースにした「あやせ梅酒」も手掛けています。日本酒ベースの梅酒は珍しく、焼酎ではなく本醸造酒に綾瀬市産の梅を漬け込んだ無添加の甘口で飲みやすい逸品です。そのラベルには、亡き親戚のおばさまが描かれた梅の実のイラストが今も使われています。家族の温かいきずなを感じさせる、これもまた地域に愛される逸品です。
アルコールが苦手な方や、お子さまにも綾瀬の恵みを楽しんでほしい、という思いから生まれたのが「ベリーサイダー」です。綾瀬の「あやせベリーガーデン」から調達したブルーベリーとブラックベリーを使い、新潟の製造元に委託して作られています。二種類のベリーを混合することで生まれた、甘さと酸味のバランスが絶妙なさっぱりとした味わいは、お子さまにも大好評。夏場はバニラアイスを乗せてベリーフロートとして楽しむのもおすすめです。
「できることを、力限り」
地域と共に歩む酒店
矢部商店は、単なる小売店にとどまりません。家族経営で奥さまやお母さまと共に店舗を運営する中で、地域との繋がりを何よりも大切にしています。「地域に貢献することを通じて、お店も地域も一緒に盛り上げていきたい」と矢部さんは語ります。
毎週木曜日には「みのりファーム」から新鮮な野菜や市内産の新鮮な卵、大久保商店の豚肉などを仕入れるなど、地元の採れたてを販売。また、新潟の農家から手作りのみそを仕入れるなど、各地の「おいしい」も綾瀬に紹介しています。


下:綾瀬の銘酒と人気の銘柄が並ぶ商品棚は、矢部商店ならでは。

地域イベントへの積極的な参加も、矢部商店の大きな特徴です。夏祭りや鮎祭りなど、地域の催しには自前の冷蔵設備を持参して飲み物を提供し、地域の賑わいを支えています。矢部さんは「できる限りはやっていきたい」と語り、商店が地域の一員として、なくてはならない存在でありたいという深い貢献意欲が感じられます。
矢部さんは「あやせ本醸造」と「ベリーサイダー」のさらなる認知度向上と販路拡大を目指しています。綾瀬の魅力は「自然豊かで農業が盛んな“田舎”でありながら、インターチェンジが近くアクセスが良い点だ」と語ります。電車は通っていなくとも、かしわ台や海老名、長後といった最寄り駅からアクセスでき、横浜にも近い立地です。
「綾瀬にまずは来ていただいて、綾瀬のお酒を飲んで、楽しんでいただければ」と矢部さん。シャイな笑顔の奥に、故郷と地元の食への揺るぎない愛情を秘めた矢部さんの想いが、今日も綾瀬の食卓を豊かに彩り、地域に温かい絆を育んでいます。
矢部商店
◎住所/〒252-1121 綾瀬市小園1312
◎営業時間/9:00〜20:00(変更の場合あり)
◎定休日/日曜日・第3土曜日
◎バス停「赤坂」下車すぐ。?あり
◎ホームページ/
https://r.goope.jp/yabesakaya
https://www.instagram.com/yabeshouten_ayase/
◎TEL/0467-78-3591