寒川学校給食センター
寒川の小・中学生のために、
体と心を育てる給食を
スタイリッシュな外観
1つで1000食作れる大きな釜
山下美萌さんが各工程を案内してくださいました
インターホンを押すと調理エリアと会話ができます!!
赤いハンドルを回すとおいしそうなにおいが!!
ぐるっと調理工程を見学できる
新しい給食センター
寒川町の小・中学生のために、毎日約4200食の給食を作っている寒川学校給食センター。衛生管理のためスタッフ以外は調理場内に立ち入ることはできませんが、誰でも気軽に調理行程を見学できる構造になっています。
同給食センターが稼働をスタートしたのは2023年秋。それまでお弁当持参が基本だった中学生にも給食を提供することを機に、町内全ての小・中学校の給食を一カ所で作れる体制を整えました。
新設にあたっては、最新の調理技術と衛生管理システムを導入。例えば電解水生成装置や真空冷却器により冷たい和え物が提供可能になり、メニューの幅も広がっています。壁や床を色分けした衛生対策や、専用室を設けるなどのアレルギー対策も、より厳密に行うことができるようになりました。
機器や建物が新しくなった一方で、給食を実際に作る調理員・栄養士は従来通りの皆さんと調理補佐員のパートさんが加わり、以前と変わらない熱意と愛情を持って子ども達に毎日の給食を作っています。
「子ども達の社会見学はもちろん、興味のある方はどなたでも歓迎しています」と笑顔で施設内を案内してくれたのは、同センターの山下美萌(やましたみほ)さん。建物の2階部分の見学用の屋外回廊を一周すると食材の下処理や煮炊き、炊飯の様子などを窓越しに見ることができます。
大型の釜や最新式のスチームコンベクションオーブンなどを駆使し調理員達が忙しく働く給食づくりの現場は、活気でいっぱい。マシンを駆使する一方で、手作業でジャガイモの芽を取ったり、的確なタイミングで混ぜたり、調理員達の長年の経験による作業も欠かせません。だしを取るなど、手間暇をかけた調理行程で、おいしい給食ができあがっていきます。
ユニークなのは、見学回廊の通路に調理中を体感できる「においの穴」があること。フワーッと食材が煮える温かな匂いをかぐと、「もうすぐ給食の時間だ!」とワクワクした子ども時代の記憶がよみがえりました。
インターホンは、調理エリアと会話ができます。小学生などの見学の際には、インターホン越しに「においの穴」で献立を当ててもらうクイズを出したり、あいさつを交わしたりして笑顔でふれあいができています。
遊び心と温もりを感じる
積み木をモチーフにしたデザイン
寒川学校給食センターでは、見学コースで目にする、工程ごとの工夫を書いた説明ボードのかわいいデザインにも目を引かれます。デザインのモチーフとなっているのは、「積み木」です。子ども達に親しんでもらえるよう、そして「積み木」の創造性やフレキシビリティなど、食を通じて「こころ」をつなぎ、積み上げていくというセンターの想いも重ねて表現されています。
積み木モチーフのデザインは、町内の小中学校に給食を届ける配送車にも使われています。配送車は全部で3台。全て違うカラフルなデザインで、おいしい給食を届けています。
ちなみに、3台の配送トラックのデザインは「左側」に注目。積み木モチーフのサインバージョン、寒川町の給食でおなじみの「三食忍者」バージョン、給食センター外観バージョンなど、一つ一つ工夫されています。なぜ左側に工夫をしているのかというと、歩道を歩く子ども達が目にしやすい側だから。給食に親しんでもらえるよう、細かい点まで考えられています。
視覚的に統一された館内のサイン
子ども達に親しみのある積み木がモチーフと聞いて納得!
調理エリア内も外回廊の案内ボードも積み木モチーフの文字が
配送車の歩道側デザインは全て違うので、特に注目です
上から見ると野菜の量がスゴい!
同じ目線で見れる!!調理員さんの頑張りが育ち盛りの子ども達を支えます
各工程と流れを見せる、寒川町の新しい食育の形です
子ども達の人気メニューは?
地産地消を伝える『「高座」のこころ。鍋』も
「地域で育つ子ども達のための給食なので、できるだけ寒川産、県内産の食材を使いたいと考えています」と山下さん。米、ニンジン、ネギ、小松菜など、地元で取れる農産物を積極的に使っています。
11月1日の町制記念日には、栄養士が地産地消をテーマに考えた『「高座」のこころ。鍋』というオリジナルメニューが登場しました。町内産の長ネギ、ホウレン草、生シイタケを材料に使用。鍋に入れる(すいとん)だんごは寒川町小動(こゆるぎ)で育った小麦を使い、調理員が手でこねて手作りならではの味に仕上げました。
子ども達の「おいしかった!」という声に応えて、町内産の米から麹(こうじ)を作り、味噌も手作りしてみよう、とチャレンジが続けられています。
寒川町の子ども達が好きな給食のひとつは「にんじんシリシリ」。寒川産のにんじんを使用し、ツナとたまごと炒めた料理です。最近では寒川町で生産された青パパイヤを追加したアレンジレシピが給食に登場しています。
「家では食が細い子も、給食メニューは大好き」という家庭の声に応えて、町のホームページなどで給食のレシピや動画を紹介しています。タンドリーチキン、高野豆腐のオランダ煮、キムタクごはんなどの人気メニューが、家庭で作りやすい手順と分量に換算されています。
動画制作のきっかけは、コロナ禍で休校になった時期に、「子どもたちにおいしく栄養を」と考えた栄養士が部署の垣根を越えて一丸となった活動だったとか。離れていても子ども達の健康を願う栄養士の愛情と絆が伝わるエピソードです。
子ども達が「食」を学ぶ、
新しい食育発信基地として
センター内には、調理場の上階に調理実習ができるキッチンスタジオ「ココロキッチン」、喫食ができる「食サロン」の設備があります。
「子ども達にもっと給食に親しんでもらえるよう、新しい形の食育にも挑戦していきたいです」と山下さん。例えば、給食の調理員が子ども達と一緒に調理をする体験学習をするなど、楽しく学べる企画を考案中です。
給食センターの新設に伴い、各小学校の校内にあった給食室は調理の機能の役目を終えました。子ども達からはそれまで校内で給食を作ってくれていた栄養士・調理員に向けた感謝のメッセージが贈られ、展示されています。
給食センターの設計にあたっては「子どもたちと調理員の絆を減らしてしまうのではなく、より進化させたい。より給食を好きになってもらいたい」という熱意が実現されました。
ココロキッチンの入口前には、レプリカの回転釜と調理器具があり、見学者が自由に触ることができます。レプリカの釜の中には、カラフルな色水を入れたペットボトルが入っています。「調理員さん達が、どれだけ心を込めてお鍋の中を混ぜているのか、疑似体験ができるようになっています」と山下さん。大きなしゃもじで回転釜を扱う難しさを、実際に知ってもらえるように工夫しました。
センターは、見学回廊を整備したり、調理場を以前よりも近くから見学しやすいように、ココロキッチンを活用して新しい交流の時間を持つなど、愛情にあふれた工夫でいっぱいの施設になっています。センターの栄養士は各小・中学校に訪問し、子ども達がどんなメニューをどんな表情で食べているのか、今まで通り学級をまわり、声かけをするなどのコミュニケーションを継続しているそうです。
「寒川の子ども達みんなに、給食をおいしく食べて、健やかに育ってほしい。体の栄養はもちろん、心も満たせる給食を提供したいです」とセンターの栄養士・調理員がメッセージを寄せてくれました。子ども達の笑顔のために、愛情いっぱいにスタートを切っています。
ココロキッチンは調理と喫食を一体で学べます
結構力が必要です
給食室で調理していた頃の感謝の気持ちも展示
山下さんの案内は終始、子ども達への愛情に溢れていました
寒川学校給食センター
◎住所/〒253-0106 寒川町宮山4018
☎0467-75-6706