安藤養鰻場

田園風景の中にうなぎの看板
「さばきたて、蒸したて、焼きたて」

樹木に囲まれた街に突然現れる、ユーモラスなうなぎの手描きイラストの看板を辿った先にあるのが、安藤養鰻場です。
店先の樽の中にいるのは、静岡県浜名湖から直送される国産の養殖鰻。ニョロニョロと活きのいいうなぎたちが、そのまま正面にある調理場へ運ばれます。
店主の安藤さんが器用に１匹ずつつかみ、まな板の上でサーッと背開きに。切り落とされた部位がまだピクピクと動いているほど新鮮なうなぎを、焼いて、蒸して、蒲焼きにします。
市販のレトルト品とは、根本的に異次元のおいしさ。知る人ぞ知る、うなぎのお店です。

「秘伝のタレ」がすごい！

安藤養鰻場さんの蒲焼きのおいしさのもうひとつの理由が、オリジナルの「秘伝のタレ」。
「調理場で出るうなぎの頭や骨を、醤油・みりん・砂糖などで煮たものです。普通の作り方ですよ」と、秘伝をあっさり明かしてくれる安藤さん。作り方は「普通」とは言え、新鮮な頭や骨から出るうなぎエキスがたっぷりなので、他では真似のできない味に仕上がります。
「お料理に使ってもおいしいですよ」とおかみさん。卵焼きや卵かけごはん、煮物の隠し味にもおすすめです。うなぎとは別売りで、買って帰ることができます。

湘南と鰻の意外な歴史

もうすぐ創業50年を迎えるという安藤養鰻場さん。「創業のころは、この辺りで養鰻場は、とくに珍しい存在ではなかったと思いますよ」と振り返ります。
相模湾でうなぎの稚魚がよく穫れていたこともあり、もとは敷地内の池で養殖を行っていたのだとか。近年になってうなぎの生態や稚魚の流通などが変化し、浜名湖から仕入れるスタイルに落ち着いています。
地域のおまつりで、子どもたちのために「活きうなぎのつかみどり」（！）を企画したことも。「力任せにギュッとつかむと逃げられます。うなぎをさわるときは、そっと優しくがコツですよ」と教えてくれました。

活うなぎを買ってみる！？

注文を受けてからさばくので、焼きたてを買いたい場合は来店の90分前に電話予約することが必要です。白焼きや肝焼きなど、蒲焼き以外のものも相談できます。
専門店に卸している活うなぎ（ニョロニョロと元気なうなぎたち！）を、個人で購入することも可能とのこと。最近はインターネットの動画などで捌き方や焼き方を研究し、自分で調理してみたい！という人も増えているのだとか。
プロ級に仕上げるのは至難の技ですが、チャレンジしてみるのも楽しそうです。「うなぎをさわるときは、そっと優しく」のコツを忘れずに。
※生のうなぎの血には毒があるため、目や傷に入らないようご注意ください。