材木座海岸

材木商人が築いた街「材木座」
明治以降は海レジャーの拠点に

広々とした砂浜から、右手に江の島、左手に逗子マリーナを望むことができます。
夏になると多くの海水浴客でにぎわいますが、シーズンオフはヨットやサーフィンが波間に浮かび、のどかな雰囲気です。
子どもたちが遊んだり、犬の散歩をしたり、地域の皆さんの憩いのエリアとなっていました。

鎌倉時代から続く繁栄がしのばれる商業の街

鎌倉時代から船舶の往来があり、商業の街として栄えた材木座。鎌倉幕府によって整備された基幹大路「小町大路」が通っていたことからも、当時の繁栄がしのばれます。
鎌倉時代の商工組合「七座」の一つとして、材木商人の座(組合)が作られたことが、地名の由来となりました。
明治になると海水浴場が開設され、夏目漱石の「こゝろ」にも登場します。昭和以降は別荘や企業の保養所が並ぶエリアとしても有名になりました。

昔ながらのお店も、新しいカフェも
飾らない気風の材木座の商店街

海を背にして材木座の街中へと足を運びました。住宅や寺社、昔ながらの商店が軒を並べる飾らない気風が魅力の商店街です。下町の風情を残しつつ、古民家をリノベーションした小さなカフェなども新たにオープンしています。 海辺から歩いて3分足らずの場所にあるゲストハウス「亀時間」へ。材木座商店会の会長を務めている櫻井雅之さんに会いに行きました。

櫻井さんが商店会長に就任したのは3年前。42軒のお店と一緒に、街づくりを担っています。「観光客で賑わう鎌倉の中心地からは少し離れていて、庶民的な大らかさがあるところが材木座の魅力です。魚屋さんや八百屋さんなど、古くから地域に根付いているお店では、昔ながらの常連さんと世間話ができるつながりがある。一方、僕らのような新しく商売を始めたメンバーは今ま軒軒でにないことに挑戦する意欲がある。両方を生かすのが、材木座の街づくりです」と同商店会の魅力を語ってくれました。

毎年6⽉に開催、伝統ある材木座の鎮守、五所神社の例大祭はコロナ禍で休⽌を余儀なくされた時期もありましたが、昨年復活しました。「会長になって初めてのお祭り。商店会は夜店営業を担うのですが、衛⽣に関するルールが変わっていたり、前例踏襲では進まない部分もあったりして、かなり⼤変でした」と櫻井さん。東奔西走して準備を行い、おまつりの当日は大盛況となりました。「子どもたちがおまつりを楽しんでいる姿を見て、報われた!と思いましたね」と笑顔で振り返ります。
参加した商店の仲間たちと一緒に例大祭再スタートの苦楽を乗り越えたことで、商店会としてのチームづくりに成功しました。まずは商店会の存在をもっと広く知ってもらおう、とホームページを新しく開設。Instagramを始めるなど、積極的に活動しています。

この春には、国の登録文化財に指定されている材木座公会堂をステージとした新たなマルシェの開催も企画しています。築105年の歴史を持つ同公会堂は、材木座地区の11自治会で構成する(一社)材木座自治連合会によって、2023年に大規模改修を終えたばかり。次の100年に向けて、地域の皆さんが中心となって新たな息吹を吹き込みます。

「マルシェを企画することで、商店会のメンバー同士がつながるきっかけ、地域の人同士がつながるきっかけになる。『いい街を作ろう!』と上からスローガンを掲げるのではなくて、みんなで共同作業をやりながら、昔から住む人も新しい人も分かりあっていくことができれば」と櫻井さんはマルシェ開催の狙いを話してくれました。
材木座ならではの温故知新の街づくりから、今後も目が離せません。

鎌倉Style vol.04
温故知新 材木座めぐり
~自然体の暮らしを愉しむ。